NotenkiExpress 2013

お天気,競馬,2時間サスペンスドラマなどに関するメモ書きです。

雪と入試(1)

明日,明後日,大学入試センター試験が行なわれます。首都圏では去年のセンター試験は雪に見舞われました。

ひとくちに入試といってもいろいろあり,幼稚園や小学校の“お受験”は10月くらいにはじまるらしいですが,それにはまったく興味がありません。東京都下に住んでいる元“受験屋”の感覚では,2月1日の中学入試が入試シーズンのはじまりです。そして2月1~3日の中学入試が第1のピーク,2月18~20日の私立高校が第2のピークでした。現在はσ(^^;)が受験屋だったころよりも高校入試が早くなっているので,第2のピークは2月10日~12日ごろでしょうか。いずれにしても,暦の上の話はともかく,気候的には冬のまっただ中に入試は行なわれます。

一方で,東京で雪が降ることがもっとも多い月は2月です。また,2月には最深積雪が10cm以上の日数が0.4日あります。ということは平均すると,2~3年に1日は10cm以上積もる日があるということです。そして10年に1日は20cm以上積もることがあります。

東京で10cm以上の積雪があるとどういう事態になるか……電車が止まる,首都高は全線通行止めになる,ノーマルタイヤの車のノロノロ運転やスリップ事故で道路は渋滞する,それだけならまだしも自力走行が不能になって路上に放置するバカがあらわれる,人は滑ってころぶ……。たかが10数cm程度の雪でのこのありさまは,雪の多い地方に住んでいる人にはおよそデキの悪いドタバタ喜劇にしか見えないと思います。

そしてこのような時期に入試が行なわれるわけです。当然,雪が降ったら上へ下への大騒ぎです。

実際,中学入試,私立高校入試が雪にたたられたことが過去に何度かあります。大昔のことはおいて最近20年程度に限ると,1984年,1986年,1990年,1992年です。ここ10年間はありません。1994年2月12日に25年ぶりとなる最深積雪23cmを観測していますが,当時の私立高校の入試日程からはズレていました(ただし,国立高校の入試はこの前後だったはず)。もちろん大学入試は予定されていたはずで,かなりの影響があったと思いますが,大学入試についてはよくわからないので(というか,興味がなかったので)ここでは触れません。

以下では,もっとも印象に残っている1992年の東京での状況について書き,雪が入試に与える影響の一端を紹介します。

●1992年2月1日

1992年1月31日09時に四国沖にあった1004mbの低気圧が猛発達しながら東進し,2月1日09時に房総沖に達したときには980mbにまで発達しました。この低気圧により各地で大雪・強風となりました。

気象庁の観測原簿によると,東京(大手町)では31日の02時55分に降りはじめた雨が断続的に降り続き,14時20分に凍雨,14時45分にみぞれ,18時30分に雪となり,1日の09時50分まで降り続きました。そして07時に17cmの最深積雪を観測しています。一方,低気圧の接近とともに風も強まり,04時から05時にかけて最大風速12.8m/s,最大瞬間風速26.4m/sが観測されています。

同じ東京都内でも多摩方面では雪の降りはじめは早く,当時σ(^^;)が常連だったパソコン通信のとあるローカルネットで31日の13時59分に「雪だ~」という書き込みがあるので,そのころには降りはじめていたと思われます。

ちなみに,σ(^^;)はその日の22時12分に次のような書き込みをしています。

雪はかまわないけど,明日から中学入試がはじまるんで,受験生や家族は大変でしょうね。

そういえば,2月1日は2年に1回ぐらいの割りで雪に見舞われているような気がする。

いくらなんでも2月1日が2年に1回雪ということは当時もなかったのですが,2年前の1990年の記憶もあったのでしょう。

なお,委託観測による1日09時の積雪深は,練馬22cm,世田谷21cm,青梅と新木場14cm,八王子11cm,府中8cmなど。また,横浜の最深積雪は15cmでした。

この大雪で交通機関は大きな影響を受けました。東武伊勢崎線,京成線が始発から間もなく全面運休となり,JRも中央線,山手線などが時間運休したほか,他の路線でもダイヤが大幅に乱れました。ただ,この日は土曜日だったので,大きな混乱は少なかったようです。道路でも,首都高速が例によって一時交通止めになったのをはじめ,あちこちでスリップ事故が相次ぎました。

さて,この日は生徒募集している東京都内の159校の私立中学のうち,73校が入試を予定していました。ところがこの交通機関の乱れのあおりをモロに受けて,予定通り入試を行なったのは6校に過ぎず,入試を延期させたのが3校,他のほとんどの中学校でも試験開始時刻を遅らせるなどの措置をとりました。

例えば,文京区にあるA学園中(女子中)では,試験開始の8時20分になっても受験生の4分の1が間に合わなかったため,開始を急遽30分繰り下げました。また,港区にあるA中学(男子中)では,9時の開始時刻を10時に繰り下げ,これにも間に合わなかった約10人を別室で受験させました。

ところで,先に「入試を延期させたのが3校云々」と書きましたが,そのうちの1校は御三家筆頭の開成中でした(ちなみに残り2校のうちの1校はプロテスタント系のミッション女子中で,掟破りの日曜入試になりました)。ただし,当時は開成中の入試日は1日と2日の2日間にわたって行なわれており,正確にいえば1日目が中止になっただけで,延期ではありませんでした。

しかし,これは中学入試史上,特筆すべきできごとでした。雪のせいでもなんでも,とにかく開成中が「2日校」になってしまったのです。ということは,あらかじめ願書を提出しておけば,「御三家」を2校受けられたわけです。

「女子御三家」は,1日が日曜日のときは長老会系のプロテスタント校である女子学院が「2日校」になるので2校受けられる年がありますが,「♂御三家」を2校受けられた年が他にあったかどうか,σ(^^;)は寡聞にして知りません。

ついでですが,雪による混乱に輪をかけるように翌日の2日未明,東京で震度5(当時の震度階級)の地震が発生しました。被害は大したことはありませんでしたが,またもや交通機関が影響を受けました。このため,「2日校」になった開成中が試験開始を30分繰り下げたほか,面接を中止した中学校もありました。

●大雪のパターン

東京に大雪が降るパターンはだいたい決まっており,高気圧が北日本方面に張り出しているときに太平洋岸を低気圧が発達しながら通る場合です。

このような低気圧については,現在では発生の初期の段階からかなり正確に予報できます。そして大雪や暴風などによる災害が予想されるときは,「低気圧に関する全般気象情報」などという形で気象庁から発表され,ニュースでも報道されます(マスコミが持ち上げた青年虚業家が逮捕されたり,空爆大好きのアメリカがどこかにバクダンを落とした,というような大騒ぎがなければ)。

ただ,問題は雨になるか雪になるかで社会に与える影響が大きく違うにもかかわらず,それが直前になってもわからないことが多い点です。これは簡単にいうと,雪になるか雨になるかの判断が難しいうえに,関東南部の降雪が特異な現象で(珍しい現象という意味ではありません),他の地域では雪にならない条件下でも雪になることがあるからです。

入試日に雪が降りそうだという情報を耳にしたら,実際に降ることを覚悟して準備したほうがいいでしょう。もし降らなかったら運がよかったとσ(^^;)に感謝しましょう(爆)

あと,最後にひとつだけ。雪の多い地方から都内の,あるいは周辺の大学などを受けに来る受験生もいると思いますが,自分は雪に慣れているから大丈夫だよん,などと思ってはダメです。確かに自分は大丈夫で,入試でスベることはあっても雪で滑って転ぶことはないかもしれませんが((^_^;)\ヲイヲイ),まわりがこのとおりですから,否応なしに巻き込まれる可能性が大です。とくに交通手段がメチャメチャになってはどうしようもありません。得意のスキーで移動するわけにもいきません。

※この文章は以前どっかに書いたほとんどそのまんまです(笑)