NotenkiExpress 2013

お天気,競馬,2時間サスペンスドラマなどに関するメモ書きです。

台風14号列伝

今年は台風13号まで発生しましたから,次の台風は14号ということになります。

歴代の台風14号を見てみると,迷走気味の台風が目を引きます。平均的には夏場に発生することが多いということもあるのでしょう。

目についた台風を年代順に見ていきましょう。

まず1954年。9月18日の夜に伊豆半島を通過したあと19日の00時ごろ房総半島に上陸しました。洞爺丸台風(15号)の露払い的な台風でしたが,単純に最盛期の強さを比べると,14号のほうが強い台風でした。

気象庁は上陸間近な17日15時の中心位置を,いったん発表したあと距離にして100kmも訂正しました。このため,予測上陸地点も大きく変更され,各地の防災担当者をあわてさせました。

1960年の14号は,ローマ五輪の開幕を祝って(?)あらわれた「五輪台風」のトップバッターでした。しかもいったんは日本の東海上に去っていったのに,なごり惜しそうにループを描いて戻ってきました。忘れ物でもしたのでしょうか。

1962年の14号は8月26日朝,潮岬付近に上陸,三重県から福井県に抜けました。
この日の午後,毎度のことながら多摩川でのんきに釣りをしていたマヌケな連中がいました。ところが急な増水で中州に取り残され,救助隊も立ち往生。折からの17~18m/sの強風で,警視庁や自衛隊のヘリも離陸できない状態。
こうした中,果敢に救助に向かったのは立川基地所属の米軍36空軍救助中隊の大型ヘリ。のちに警視総監から感謝状が贈られました。米軍もごくまれにいいことをすることがあるものです。

1964年の14号は16号とつるんで奇妙な動き。「藤原効果」を一躍有名にしました。そのあと16号を吸収する形で再発達し,枕崎付近に上陸,九州を縦断しました。

1974年の14号は,いったん上海の南に上陸して“弱い熱帯低気圧”になった直後にUターンして沖縄付近で台風に復活,進路を北東に変えて8月26日10時ごろ浜名湖付近に上陸しました。その後,東日本を縦断して温帯低気圧に変わりました。

ちょうどこのころ,役立たずの原子力船「むつ」がよせばいいのに母港を出港しようとしていました。250隻もの漁船に包囲され離岸できない状態でしたが,台風14号によるうねりで一部の漁船が避難した隙をつき,強行出航していきました。原子力船の未来を象徴するような,見送る人もほとんどいない,わびしい出港でした。

出港してはみたものの,6メートルの波により20~25度の横ゆれ。実験班5人ばかりか女性船員3人も船酔いを起こしました。船員が船酔いしますかねえ……?

ちなみに,むつは出航して間もなくの9月1日に中性子漏れを起こすことになります。

1985年と1986年の14号も,“弱い熱帯低気圧”になったあと復活を遂げました。

このうち,1985年の14号は8月30日23時ごろ三浦半島に上陸しました。1985年8月といえば日航123便墜落事故。このころ御巣鷹の尾根(正確には高天原山の尾根)では遺体捜索と機体の検証作業が続いていました。

台風14号による風雨に備え,検証・捜索活動にあたる警察官や自衛隊員が全員下山していた群馬県・上野村日航ジャンボ機墜落事故現場は,三十一日朝から「台風一過」の快晴となり,遺体の捜索と機体などの検証活動が再開された。
 現場周辺は,三十日午後から風雨が強まり,前橋地方気象台の調べでは,上野村に近い多野郡万場町で,三十日午後三時の降り始めから三十一日午前五時までの総雨量は六一ミリだった。
 このため,現場周辺の土砂崩れや,証拠品の機体の流失が心配されたが,前日,ロープで残がいを固定したり,木材で残がいの底上げをして流失防止の作業をしており,土砂崩れや大きな落石もなく,台風による実害はまったくなかった。…… (31日付朝日夕刊)

ちなみに翌31日,台風13号が枕崎付近に上陸したあと九州を縦断,死者・不明12人の被害を出しました。

時代は下って2005年。ブッシュの忠犬ポチがバカのひとつおぼえの郵政民営化を狂行しようとして抵抗に合い衆議院を解散。総選挙の最中に14号がやってきました。

“候補者の顔”消える? 大型で非常に強い台風14号の本県接近に伴い、高知市選挙管理委員会(山岡敏明委員長)など各市町村選管は5日午前、衆院選(11日投票)のポスター掲示板の一時撤去や補強などの応急措置を取り始めた。選挙期間中の掲示板の取り外しは異例。

ポスター掲示場は、公示前に県内5858カ所に各市町村選管が設置。くぎや針金で地面などに固定した木製の支柱に掲示板を取り付けているが、台風14号の接近に備えて県選管は4日、各市町村選管に風雨に備える対策を指示した。

県内最多の601カ所に掲示場を設置している高知市選管は5日朝、九州を縦断する台風14号の進路予想を基に本県上陸という最悪の事態も想定し、取り外しを即決。すべての掲示場を点検して吹き飛ぶ危険のあるものを撤去するよう、掲示板設置業者に依頼した。

業者は午前9時から8班体制で市内に散らばり、支柱を残した状態で掲示板を撤去。業者によると、背面に壁がなく風が吹き抜ける場所にある掲示板はすべて取り外すため、「設置した掲示板の7―8割は撤去することになる」。作業が終わるのは6日午前になる見通し。(高知新聞9月5日夕刊)

このように要らぬ出費を強いられる自治体が相次ぎました。

また,この14号により,内田康夫『高千穂伝説殺人事件』で高千穂町議会議員がはねられる舞台(?)となった高千穂鉄道が,壊滅的な被害を受けました。