史上最も早い台風の上陸(1917年)
「気象要覧」(1917年4月)より:
四月十三日ヨリ十七日ニ至ル颱風 此颱風ハ十三日石垣島ノ南方海上ニ顯レ,北東ニ進ミテ東海ニ入リ,十五日對馬海峽ヲ經由シ,十六日日本海ヲ通過シテ北海道ヲ横斷シ,十七日オホツク海ニ去ル,・・・・
同じく「気象要覧」(1917年4月)より:
四月十四日ヨリ十七日ニ至ル颱風 十四日沖繩島ノ東方海上ニ顯レタル颱風ハ北北東ニ進行シ,十六日遠州灘ニ到リテ北東ニ轉向シ,遂ニ房總半島ヲ横斷シ,十七日太平洋中ニ入ル,・・・・
というわけで,1917年4月16日,台風が日本に上陸しました。これは観測史上最も早い上陸です。しかも記録上は同じ日に2つ上陸したことになっています。
もっとも,今の基準で考えれば,両“颱風”とも温帯低気圧だった可能性が高いと思われます。
「気象要覧」にはこの2つの“颱風”による被害はとくに記述されていません。新聞を見てみると,16日付東京朝日新聞に次のような記事がありました。
●づぶ濡のお花見
上野飛鳥山名残りの賑ひ
◇彰義隊の前で慘めな稚兒行列
◇雨にも怯まず大變な假裝行列
昨日の日曜は職人達の休日とかちあひ花もまたこの日を外しては來年まで見られぬといふ上野飛鳥山の名殘りのお花見は如何にと朝來生憎にも降り出した春雨を衝いて・・・
なお,この年は4月28日にこの月3つめの“颱風”が上陸しています。